簿記2級を学んでいると「満期保有目的債券」という言葉がよく登場します。
今回は、この債券の基本的な特徴と、差額の調整に対して行うべき仕訳について、分かりやすく且つ簡単に解説いたします。
満期保有目的債券について、仕訳や計算の仕方が難しいと感じている人は、是非読み進めてください。
満期保有目的債券とは
満期保有目的債券の基本概念
満期保有目的債券とは、企業が「満期日まで保有することを目的に購入した債券」のことを言います。
つまり企業は、その債券を満期日まで売却せずに保有し続けることになります。
満期日まで保有し続けることによって、一定期間ごとに利息収入を得ることができるのです。
また、満期保有目的債券は、売却することを目的としていないため、決算における時価評価はありません!
満期保有目的債券の金利の調整
満期保有目的債券では「金利の調整」をされていることがあります。
金利の調整とは、簡単に言うと、債券の額面金額や取得金額、利息の割合などを考慮し、市場との調整を図ろうとすることです。
金利の調整がされている場合、満期保有目的債券の額面金額と取得価額には差額が生じています。
その差額を「金利調整差額」と言います。
金利調整差額がある場合には、取得金額が額面金額に達するまで「償却原価法」という方法で調整していくのです。
例えば、額面100万円の満期保有目的債券を98万円で購入し、満期日まで5年あるとします。
額面金額と取得金額との差額2万円を5年で割ると、1年あたり4,000円になります。
決算時に4,000円ずつ、満期保有目的債券の簿価に加算していくのです。
そうすると、5年後には簿価が額面の100万円と同じになる、という仕組みです。
また、償却された分は「有価証券利息」として収益に計上されます。
※厳密には、月割計算が必要です。
※また購入金額の方が高い場合にも、額面金額と簿価が一致するように償却していきます。
この金利調整差額は、満期保有目的債券と有価証券利息(収益)の増加で処理をします。
つまり、仕訳は (借)満期保有目的債券/(貸)有価証券利息 です。
簿記2級の問題では
「額面金額と取得価額との差額は金利調整差額と認められ、償却原価法(定額法)によって処理をする」という感じで出題されます。
また、償却原価法には定額法と利息法がありますが、利息法は1級の範囲になるため、ここでは定額法で進めていきます。
金利調整差額に償却原価が必要な理由
満期保有目的債券の金利調整差額に償却原価法を適用しなかった場合には、満期時における簿価の不一致や収益の一括計上などが発生し、適正な会計処理ができない状況になります。
↓例えば、額面100万円の満期保有目的債券を98万円で購入した場合↓
債券の保有期間に応じて、差額2万円分を均等に割って計上していくので、
満期時には、簿価が償還金額と同じ100万円になっている。
毎期「満期保有目的債券」と「有価証券利息」へ均等に加算。
満期での簿価は購入時の98万円のままであるが、償還金額は額面の100万円。
この差額2万円が、収益(有価証券利息)として満期の年に一気に計上されてしまう。
しかし、利息は時の経過とともに発生するものなので、金利調整差額分についても、債券の保有期間に応じて、毎期均等に計上(償却)していく必要がある。
満期保有目的債券と償却原価法(定額法)の仕訳問題・解答
《問題》
×1年4月1日、額面総額40,000円の満期保有目的債券を37,600円で購入し、現金で支払った。
満期日は×5年3月31日、決算日は3月31日の年1回である。
額面金額と取得価額との差額は金利調整差額と認められるため、償却原価法(定額法)によって処理をする。
①債券を購入した時の仕訳 と ②決算時の償却原価法の仕訳 をしなさい。
《解答》
(借)満期保有目的債券 37,600円/(貸)現金 37,600円
(借)満期保有目的債券 600円/(貸)有価証券利息 600円
一つずつ、確認していきましょう。
①債券を購入した時の仕訳
債券を購入した時には、その額面金額ではなく、実際に支払った購入価格(取得価額)37,600円にします。
【借方】
満期保有目的債券を購入 → 資産の増加なので → 借方に満期保有目的債券
【貸方】
現金で支払った → 資産の減少なので → 貸方に現金
《①×1年4月1日:債券取得時の仕訳》
(借)満期保有目的債券 37,600円/(貸)現金 37,600円
②決算時の償却原価法の仕訳
満期保有目的債券の額面が40,000円、取得価額が37,600円 ということは、
その差額は 40,000円-37,600円=2,400円 となります。
また、満期保有目的債券の取得日が×1年4月1日、満期日が×5年3月31日 ということは、
保有期間は 4年間 となります。
よって、1年(12ヶ月)あたりの償却額は、
差額2,400円÷4年間=1年あたり600円 になります。
要するに、
毎年600円ずつを(資産)満期保有目的債券に加算していき、満期日にはちょうど40,000円の簿価になるということです!
《②×2年3月31日:決算時の償却原価法の仕訳》
(借)満期保有目的債券 600円/(貸)有価証券利息 600円
この②の仕訳を、×3年3月31日、×4年3月31日、×5年3月31日 とあと4回繰り返すと、
満期保有目的債券の簿価は、額面と同じ40,000円になります。
(月割り計算の場合)
当期は、購入日の×1年4月1日~×2年3月31日 で12ヶ月間なので600円ですが、
もし、10月1日などの期中に購入した場合は、10月1日~3月31日までの6ヶ月間で月割り計算する必要があります。
600円÷12ヶ月×6ヶ月=300円 となります。
仕訳をまとめると
《問題》
×1年4月1日、額面総額40,000円の満期保有目的債券を37,600円で購入し、現金で支払った。
満期日は×5年3月31日、決算日は3月31日の年1回である。
額面金額と取得価額との差額は金利調整差額と認められるため、償却原価法(定額法)によって処理をする。
①債券を購入した時の仕訳 と ②決算時の償却原価法の仕訳 をしなさい。
(借)満期保有目的債券 37,600円/(貸)現金 37,600円
(借)満期保有目的債券 600円/(貸)有価証券利息 600円
となります。
満期保有目的債券と償却原価法のまとめ
簿記2級の試験では、満期保有目的債券の購入時の仕訳から、利息についての仕訳、償却原価法による仕訳が出題されます。
満期保有目的債券は、元々、売却しない前提で購入されるため、売買目的有価証券やその他有価証券などとは異なる会計処理となります。
簿記2級の試験ではよく出題されるので、簡単な問題から学習していき、確実に解けるようにしておくことをお薦めします。


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