今回は、商業簿記2級で学習する「国庫補助金受贈益」とそれに繋がる「固定資産圧縮損」について、その意味と仕訳の仕方を分かりやすく解説します。
また、圧縮記帳は「直接減額方式」です。
長い漢字の勘定科目なので、苦手意識のある人も多いのではないでしょうか。
一度覚えてしまえば、仕訳自体は簡単なので、1つずつ見ていきましょう。
国庫補助金受贈益の意味
国庫補助金
「国庫補助金」とは、国や政府から特定の目的に対して支給される補助金のことです。
企業が設備投資を行う際にも、その一部を助成してもらえる場合があります。
受贈益
「受贈益」とは、支給された補助金がその企業にとっての「利益」や「収益」になることを意味します。
国庫補助金受贈益
つまり、
「国庫補助金受贈益」は、国から支給された補助金が企業の収益として計上され、利益が増えたことになるのです。
例えば、ある企業が新しく機械を購入するために、政府から150万円の補助金を受け取ったとします。この150万円が「国庫補助金受贈益」として収益に計上されるということです。
5要素の中で収益に分類される勘定科目です。
固定資産圧縮損(圧縮記帳)の意味
固定資産圧縮損(圧縮記帳)とは?
「固定資産」というのは、企業が長期に渡って使用・所有する土地や建物、機械、設備などのことを言います。
「圧縮損」とは、固定資産を購入した際、国からの補助金分を固定資産の取得価額(購入費用)から引く(圧縮)ことです。
また、この処理のことを圧縮記帳といいます。
「固定資産圧縮損」は、5要素の中で費用に分類される勘定科目です。
直接減額方式
商業簿記2級では、受け取った補助金と同額を固定資産の取得原価から減額する「直接減額方式」という記帳方法で学習します。
圧縮記帳を行う理由・目的
国から補助金を受け取った時、その補助金は「収益」として計上されます。
収益に計上されるということは、法人税等の税金の額にも影響が出てくるのです。
せっかく補助金をもらっても、税金が増えてしまっては、補助金の意味が薄れてしまいます。
(厳密には、1年目の税金が極端に多くなるだけで、トータルでの負担額は同じです。)
また、固定資産の購入価額から受け取った補助金分を引くことで、固定資産の計上額が少なくなるため、減価償却費も少なくすることができます。
まとめると、「利益や税金に影響しないため」また「減価償却費を減らすため」に固定資産圧縮損という圧縮記帳をするのです。

圧縮記帳(直接減額方式)の問題と解き方
《問題》
さくら商事は、国から100万円の補助金を現金で受け入れ、自己資金400万円を足して、500万円の機械を現金で購入した。
なお、補助金と同額の圧縮記帳も行った。(直接減額方式とする)
まず、発生する仕訳は下記の3つです。
①補助金をもらった時の仕訳
②機械を購入した時の仕訳
③圧縮記帳をした時の仕訳
①補助金をもらった時の仕訳
(借)現金 100万円/(貸)国庫補助金受贈益 100万円
・現金で受け入れた → 資産の増加なので → 借方に現金
・補助金は → 国庫補助金受贈益 → 収益なので → 貸方
※補助金や助成金は「国庫補助金受贈益」という収益の勘定科目です。
これは、頑張って覚えるしかありません!
②機械を購入した時の仕訳
(借)機械 500万円/(貸)現金 500万円
・機械を購入 → 資産の増加なので → 借方に機械
・支払いは現金 → 資産の減少なので → 貸方に現金
※購入した固定資産の金額は、取得原価のまま記帳します。
補助金の助けは借りましたが、実際に手に入れたのは500万円の価値がある機械なのです。
自己資金分の400万円ではありません!
※もし、仕訳がここで終わりなら、機械の簿価は500万円、補助金の100万円も利益になる、ということです。
このままでは、機械の減価償却費も高くなるし、税金も高くなってしまいますよね。
それを回避するために、下記③の仕訳が必要となります。
③圧縮記帳をした時の仕訳
(借)固定資産圧縮損 100万円/(貸)機械 100万円
・圧縮記帳を行った → 固定資産圧縮損 → 費用項目なので借方
・購入した機械の金額を落とす → 資産の減少 → 貸方に機械
①②③の仕訳をまとめる
《解答》
(借)現金 100万円/(貸)国庫補助金受贈益 100万円
(借)機械 500万円/(貸)現金 500万円
(借)固定資産圧縮損 100万円/(貸)機械 100万円
この3つの仕訳をまとめて見ると分かりやすいですが、圧縮記帳を行うことで、
機械の簿価は、500万-100万=400万円 となり、自己資金で払った金額と一致するとともに、400万円が取得価額となります。
減価償却の処理を行う際にも、取得価額400万円からの計算になります。
また、収益(国庫補助金受贈益)100万円-費用(固定資産圧縮損)100万円=0円 となり、
受け取った補助金に対しての利益は相殺されました。
国庫補助金受贈益と固定資産圧縮損(圧縮記帳)についてのまとめ
「固定資産圧縮損」による圧縮記帳を行うことで、受け取った補助金が企業の利益とならないよう調整されているのです。
これは、補助金としての役割が適切に反映されている処理方法だと言えるでしょう。
商業簿記2級の問題では、国庫補助金受贈益と固定資産圧縮損は一つの問題として出題されるので、この2つは必ずセットで覚えることをお薦めします。


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